数字が苦手だと、簿記3級は計算ばかりに見えるかもしれません。でも最初につまずきやすいのは、計算の速さよりも、取引で何が増減したかを、決まったルールで記録することです。電卓を使える試験なので、まず仕訳の意味から慣れていきましょう。

教育事業者の勉強時間の目安には80〜100時間程度という説明があります。数字だけを予定表へ割り振るのではなく、仕訳・帳簿・決算のどの段階で困っているかを見て練習すると、やることを絞れます。

蓮が簿記の教材と帳簿の練習用紙を開き、電卓で確認しながら学ぶ
目次
  1. 80〜100時間は目安。計算が苦手でも入口はある
  2. 試験概要:60分・70点以上。筆記とネットから選ぶ
  3. 日程を選ぶときは、ネット試験の休止期間も確認する
  4. 配点を見ると、仕訳を土台に決算へ進む理由が分かる
  5. 仕訳は「借りた・貸した」の言葉で覚えない
  6. テキストの一項目を読んだら、すぐ同じ取引を仕訳する
  7. 仕訳から決算へ、記録の行き先をつなげる
  8. 公式サンプルで、受験に必要な練習を確かめる
  9. 出典・確認した範囲

80〜100時間は目安。計算が苦手でも入口はある

この時間は資格学校が説明する学習の目安です。合格者全体を測った公的な平均ではありません。経理経験の有無や、取引の記録に慣れるまでの時間で必要な練習は変わります。

日商簿記3級では、基本的な商業簿記を学びます。高度な数学を先に学び直すより、まず取引を読む、勘定科目を選ぶ、左右へ記録するという手順に取り組みましょう。足し引きなどの計算は、試験で認められる電卓を使う練習と一緒に進められます。

試験概要:60分・70点以上。筆記とネットから選ぶ

日商簿記3級は学歴・年齢などの受験制限がなく、初級を先に取る必要もありません。個人受験では、決まった日に紙で解く統一試験と、試験センターのパソコンで解くネット試験から選べます。ネット試験も自宅受験ではなく、会場へ行って受ける方式です。

日商簿記3級の試験概要
項目内容
範囲商業簿記
問題・解答3題以内。仕訳、帳簿などの知識・処理、決算を扱い、科目や金額を記入・入力
試験時間統一試験・ネット試験とも60分
合格基準100点満点の70点以上
統一試験年3回。6月・11月・2月に、指定会場で紙に解答
ネット試験休止期間を除き各会場が設定する日時。パソコンへ解答
計算器具規定に合う電卓を持参可能。ネット試験ではそろばん不可

統一試験は受験地の商工会議所、ネット試験は主催者の申込案内から、インターネット申込または会場への問い合わせへ進みます。希望する会場と、受けたい日程から方式を選びましょう。

日程を選ぶときは、ネット試験の休止期間も確認する

統一試験の受付は地域ごと、ネット試験の日時は会場ごとに確認します。2026年10月21日時点で、直近の統一試験は11月15日です。ただし、申込受付が既に終わっている地域もあるため、これから申し込めると決めつけず受験地の案内を見てください。

直近の日程と、受験前に確認すること
方式日程・申込先
統一試験・第174回2026年11月15日。申込期間・締切は受験地の商工会議所で確認
統一試験・第175回2027年2月28日。申込期間・締切は受験地の商工会議所で確認
ネット試験各会場が設定する日時。主催者のネット試験案内から会場・空席を確認
今後のネット試験休止2026年11月9〜18日、2027年2月22日〜3月3日

ネット試験は休止期間の直前・直後も会場の空席次第です。全国一律の申込締切がある方式ではないので、受けたい会場の予約・変更条件まで確かめてから予定を決めましょう。

配点を見ると、仕訳を土台に決算へ進む理由が分かる

大問別の配点と、練習する内容
大問・内容2027年3月31日まで2027年4月1日から
第1問・仕訳45点45点
第2問・勘定記入、補助簿など20点25点
第3問・決算35点30点

現行配点・出題内容は出版社の試験解説と公式サンプル、2027年度以降の配点は主催者の変更告知を照合しています。合格基準は70点以上のままです。仕訳は第1問だけの対策ではなく、帳簿や決算を解くための土台です。仕訳だけで合格点へ届かせる考え方にせず、記録の行き先まで学びます。

仕訳は「借りた・貸した」の言葉で覚えない

仕訳は、一つの取引を左右に分けて記録する作業です。左を借方、右を貸方と呼びますが、この名前だけで借金や貸付けを意味するわけではありません。資産・負債・純資産・収益・費用のどれが増減したかによって、記入する側が決まります。

問題を読んだら、先に何を受け取り、何を支払い、何が後に残るかを言葉で確認します。その後に勘定科目と左右を決め、最後に金額を書きます。いきなり電卓をたたくより、どの数字を使うのかが分かりやすくなります。

つまずいた場所から練習を選ぶ
困っていること戻る練習
勘定科目を選べない取引の内容を言い換え、何の増減なのかを教材で確認する
借方と貸方が逆になる科目がどの分類かを確かめ、増減のルールと一緒に書く
仕訳はできるが帳簿で止まる一つの仕訳が、どの帳簿のどこへ移るかを追う
決算問題がつながらない決算前の残高と、修正する内容を分けて確認する
最後に金額が合わない転記・集計・計算のどこでずれたか、途中の記録をたどる

テキストの一項目を読んだら、すぐ同じ取引を仕訳する

取引の意味をテキストで理解し、対応する問題で、科目・左右・金額を自分で決める練習をします。仕訳を手順で解説するテキストと、理由の分かる解答が付いた問題集を選びましょう。最初から本試験問題を速く解こうとせず、基本の取引から進めます。

基礎から決算までの学ぶ順番
学ぶ内容できるようにすること
科目と増減のルール資産・負債・純資産・収益・費用の分類と、増えたとき・減ったときの記入側を結ぶ
日々の取引の仕訳現金・預金、商品売買、掛け取引、費用などを読み、科目・左右・金額を決める
帳簿への転記と残高仕訳の数字が各科目へどう移り、借方・貸方の差から何が残るか確認する
決算整理売上原価、貸倒れの見積り、減価償却、費用収益の時期など、期末に直す理由を理解する
決算書の作成修正後の残高を、貸借対照表や損益計算書の該当箇所へつなぐ

仕訳の答えが違ったときは、電卓を押し直す前に、使う科目と増減の判断を確認します。科目は合っていても、貸借が逆なのか、複数の取引を一つと読んだのかで練習が変わります。解答を閉じて同じ手順を説明できるまで、原因のある箇所へ戻りましょう。

仕訳から決算へ、記録の行き先をつなげる

簿記は仕訳を覚えて終わりではありません。取引の記録を帳簿へまとめ、残高を確かめ、決算で必要な修正をして、財務諸表へつなげます。別々の問題に見えても、同じ記録の流れの中にあります。

問題を解くときに追う記録の流れ
  1. 取引を読む
    何が起きたかを、科目を使う前に言葉で確認します。
  2. 仕訳を書く
    勘定科目・左右・金額を決めます。
  3. 帳簿と残高へつなぐ
    記録した結果、各科目にいくら残るかを確認します。
  4. 決算の修正と財務諸表へ進む
    期末に必要な整理が、どの残高を変えるのかを追います。

答えを見て分かった問題も、解答を閉じてもう一度解きます。間違いノートは正解の丸写しより、「科目の意味を誤った」「残高を転記し忘れた」など、止まった原因を短く残すと使いやすくなります。

公式サンプルで、受験に必要な練習を確かめる

日本商工会議所はサンプル問題を公開しています。教材で一通り学んだら、60分で全体を解き、正答だけでなく、科目の判断・転記・決算処理のどこに時間がかかったかを確認しましょう。解説を読みながらの正解と、自分で最後まで解けた正解は分けて振り返ります。主催者のサンプル案内には、出版社が作成した模範解答へのリンクもあります。主催者の公式解答ではなく、出版社による解答として確認できます。

統一試験とネット試験では申込み方や解答の操作が違います。選ぶ方式の公式案内を確認し、ネット試験なら画面への入力にも慣れておきます。2027年4月以降に受ける人は、配点だけでなく出題区分表の変更もあるため、その年度に対応する教材を選んでください。

数字が苦手なら、計算量を増やす前に、取引を言葉で説明してから仕訳を書く。どこで止まるかが分かれば、漠然と全範囲をやり直すより、必要な練習を選べます。

受験を申し込む前に、選ぶ方式の申込期限と空席、本人確認書類、持参する電卓の条件を確認します。ネット試験は会場で計算用紙と筆記具が用意されるため、自宅で練習するときも画面への入力と紙での計算を組み合わせ、解答欄の移動まで確かめましょう。

この記事の登場人物

蓮のイラスト

蓮21歳

通学やアルバイトの時間を大切にしながら、食費を管理する。

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