朝の家で学校へ行きづらい娘の話を横に座って静かに聞く千尋

朝、子どもが「学校に行きたくない」と言った。仕事の予定もあるなかで、休ませてよいのか、何を聞けばよいのか、親も迷います。その場で原因を聞き出して結論を出すより、子どもの状態を確かめ、学校や相談先と困りごとを分けて考えられます。

まず大切なのは、登校させる答えを急ぐことより、子どもの安全と心身の状態を確かめ、親子だけで抱えないことです。

目次
  1. 教室へ行く以外に、どんな過ごし方・学び方がある?
  2. オンライン学習は、自動で「出席」になるわけではない
  3. 朝は、理由を全部説明させようとしない
  4. 学校へは、欠席連絡と相談したいことを分けて伝える
  5. 相談のメモは、観察したことと子どもの言葉を分ける
  6. 「学校へ戻ることだけ」を相談の目標にしない
  7. 親だけで先に相談してもいい
  8. 出典・確認した条件

教室へ行く以外に、どんな過ごし方・学び方がある?

保健室や別室で過ごす、学校外の学びの場を見学する、自宅で支援を受けるなど、今の子どもに合う選択肢を学校・教育委員会へ相談できます。

ここでは小・中学生の支援を整理します。「教室はつらいけれど、先生と短く会うならどう?」「家でできる勉強や、別の場所のお話だけ聞いてみる?」と、本人が断ったり選び直したりできる形で提案します。休養が必要なときに、次の居場所をすぐ決めさせる必要はありません。

学びの場と、最初に相談すること
選択肢相談先・費用・出席の確認
保健室・別室で過ごす担任や養護教諭へ。安心して会える人、滞在できる時間、学習の支援、保健室を継続して使えるかを相談。教室に入らない日の出欠の記録も学校に確認する。
校内教育支援センター学校内の落ち着ける部屋などで相談・学習支援を受ける場。担任・管理職へ設置状況、担当者、利用時間、教材等の実費を確認。保健室とは同じ設備・支援とは限らない。
教育支援センター(学校外)市区町村の教育委員会へ。個別学習・小集団の活動などを相談。利用料は基本的に無料だが、交通や活動の実費を確認。在籍校と連携し、出席扱いの条件を相談する。
フリースクールなど民間の学びの場運営者と在籍校へ。過ごし方・安全管理を見学し、入会金、月の利用料、教材・活動・交通費を確認。在籍校の出席扱いは別に判断されるので契約前に相談する。
自宅・オンラインでの学習や相談学校・教育委員会へ。授業配信、教材、オンラインの居場所などを聞く。公的な無料支援も、民間の有料教材もある。端末・通信環境と費用、学習計画・対面の支援・記録の方法を相談する。

例えば、東京都世田谷区は、区内在住の不登校またはその傾向がある小・中学生を対象に、無料のオンライン支援を案内しています。全国共通の制度ではなく、説明会・利用申込みや学校との確認を経て利用する仕組みです。自分の地域にも同様の支援があるか、教育委員会へ尋ねてみましょう。

民間の場を選ぶときは、利用料の助成がある自治体もあります。通う本人・保護者の住所、施設、費目、申請時期などの条件があるため、入会前に自治体へ確認します。無料の相談や見学だけを先に利用し、子どもが希望してから体験へ進む方法もあります。

オンライン学習は、自動で「出席」になるわけではない

出席扱いを希望する場合は、教材を契約する前に学校へ相談し、誰が支援し、何を記録・報告するかを決めます。

自宅でインターネットや郵送教材などを使う学習には、学校と家庭の連携、本人の理解に合った学習計画、定期的・継続的な対面の指導、校長が学習状況を把握することなどの要件があります。学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けられないような場合の学習であることも含め、在籍校の校長が適切かを判断します。動画を見た日数だけで決まるものではありません。

相談時には「利用する教材・支援者」「学習の計画と記録」「対面で支援する人や頻度」「学校への報告方法」「出席扱いの対象となる活動」を確認します。学校外の施設に通う場合も、本人の状況や支援内容を学校と共有して判断を受けます。

出席扱いと成績への反映は別の確認事項です。文部科学省は、欠席中の学習成果を一定の要件のもと学校の判断で成績へ反映できることを、2024年8月に法令上明確にしました。学校の学習内容との関係や、どの成果物を見てもらうかを相談できます。出席日数だけを目標にせず、本人が安心して学べる支援から考えましょう。

朝は、理由を全部説明させようとしない

体調と今つらいことを短く確かめ、うまく話せないときも、聞く姿勢を残します。

「どうして」「いつまで休むの」と問い続けると、子どもが言葉にできない気持ちを答えようとして、かえって苦しくなることがあります。「体でつらいところはある?」「今、誰かと話せそう?」など、今の様子を知る問いから始めます。

親が理由を推測して「友達のことでしょう」「勉強が嫌なだけ」と決めないことも大切です。頭痛や腹痛など身体の不調があれば、気持ちだけの問題とせず医療機関にも相談します。自傷や暴力など差し迫った危険があるときは、通常の登校相談の返事を待たず、救急・警察など必要な緊急の支援を求めてください。

学校へは、欠席連絡と相談したいことを分けて伝える

「今日は休む」という連絡に加え、誰と、いつ、何を相談したいかを伝えます。

まず学校の方法で当日の連絡をします。話し合う余裕がなければ、連絡の段階で全部を説明しなくてかまいません。「登校を嫌がっていて、家庭でも理由を整理できていません。落ち着いて相談できる時間を決めたい」と伝える方法もあります。

相談相手は担任だけに限りません。養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど、学校内で利用できる人を確認できます。本人が、特定の先生や学校に話すことを嫌がる場合は、そのことも踏まえ、別の窓口から始める選択肢があります。

相談のメモは、観察したことと子どもの言葉を分ける

親の推測を事実として伝えず、いつ・どんな場面で変化があったかを整理します。

学校や相談員と共有するメモ
項目書いておくこと
子どもの言葉話してくれた言葉。言いたくないことは無理に埋めない
暮らしの変化睡眠、食事、体調、家で安心して過ごせる時間
困りやすい場面登校前、特定の授業、友人関係など、分かる範囲
親の困りごと仕事との両立、家での過ごし方、子どもへの声のかけ方
次に相談したいこと連絡する担当、利用できる支援、子どもが望む関わり方

これは欠席日数を採点する表ではありません。何日なら様子を見る、何日を超えたら危険と、一律の線を引くためにも使いません。いじめや安全上の心配があれば、日数にかかわらず具体的に伝えてください。

「学校へ戻ることだけ」を相談の目標にしない

安心して過ごすことと、学びや人とのつながりをどう保つかを、本人の状態に合わせて相談します。

文部科学省は、不登校支援について、登校という結果だけを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指すとしています。本人の状況によって、休養に意味のある時期もあります。休ませたことを親の失敗と決めたり、学校に戻ればすべて解決と考えたりしないことが大切です。

学校内の別室、教育支援センター、学校外の学びなど、利用できる選択肢を聞いてみましょう。どこでも自動的に出席扱いになるわけではないため、学習の記録や学校との連携、評価の扱いは個別に確認します。本人にいくつもの場所を一度に試させるより、話を聞くところから始められます。

親だけで先に相談してもいい

子どもが相談に行けなくても、保護者が地域の教育相談や相談窓口につながることはできます。

文部科学省の相談窓口一覧には、教育センター、電話・SNSの相談などが掲載されています。子ども本人が話す窓口と、保護者が対応を相談する窓口を確かめ、自分が話せるところから連絡してください。

相談の終わりには、「次に誰が連絡するか」「子どもへ何を伝えてよいか」「学校への連絡方法」を確認します。家庭だけで全部を判断し続ける状態を減らし、子どもにも親にも、困ったときに頼れる相手を増やしていきましょう。

出典・確認した条件

資料確認日:2026年10月23日。個別の診断や欠席日数による安全判定は行っていません。学校内外の支援と、本人・保護者が相談する入口を整理しています。

この記事の登場人物

千尋のイラスト

千尋35歳

学校の支払いや備蓄品を、時期を見ながらそろえる。

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