夜の部屋で眠れない疲れを感じながら、音の状況をノートへ記す紗良

隣の音で眠れないとき、「注意しても変わらないなら、退去してもらえないの?」と思うのは自然です。隣人の自分が相手の賃貸契約を解除したり、強制的に追い出したりすることはできません。ただし、深刻な騒音が続く場合、貸主が契約解除や部屋の明渡しを求められることがあります。

まずは日時・音・睡眠への影響を記録して管理会社へ相談し、改善しなければ貸主にも対応を求めます。繰り返し伝えても動かない場合は、記録を持って住宅相談や法律相談へ進みましょう。

目次
  1. 注意しても直らない騒音で、退去を求められる?
  2. 「うるさい」だけでなく、いつ何が困るかを残す
  3. 音がする方向だけで、発生元を決めつけない
  4. 管理会社には、確認と対応の予定まで聞く
  5. 注意後も改善しないなら、貸主への対応依頼と法律相談へ
  6. 今夜の休息と、安全の確保も別に考える
  7. 出典・確認した条件

注意しても直らない騒音で、退去を求められる?

判断の中心は、生活への支障の大きさと、改善を求めても続く状況です。苦情を伝えた回数だけで退去が決まるわけではありません。

誰が動くかできること・相談すること
音に困っている入居者被害を記録し、管理会社・貸主へ確認と改善対応を求める。解決しなければ、騒音をやめるよう求める手続きや損害賠償などを法律相談で検討する。
騒音を出す入居者の貸主事実確認と改善要求を行い、契約違反が重大で信頼関係が壊れるに至った場合には、契約解除・明渡請求を検討する。

音の大きさだけでなく、深夜かどうか、頻度・継続期間、生活への影響、建物の構造、警告への対応などが問題になります。通常の生活で避けにくい小さな音と、睡眠を繰り返し妨げる迷惑行為は同じ扱いではありません。

実際に、深夜の騒音が口頭注意や書面での警告後も続き、貸主への脅迫的な言動もあった事案で、貸主による契約解除が認められた裁判例があります。これは複数の事情を踏まえた判断で、「足音の苦情があれば必ず退去」という意味ではありません。出典の裁判例紹介は東京地裁2022年4月28日判決を扱っています。

貸主が解除を通知しても、相手が退去しなければ明渡しの訴訟などが必要になる場合があります。自分で鍵を替えたり、荷物を出したりして追い出すことはしないでください。

「うるさい」だけでなく、いつ何が困るかを残す

日時・続いた長さ・音の種類・部屋のどこで聞こえるかを、分かる範囲で記録します。

大がかりな測定から始める必要はありません。メモに日付、始まった時刻と終わった時刻、足音・声・機械音などの種類、眠れなかったなどの影響を残します。分からない点は分からないままでよく、相手の部屋番号や人数を推測で埋めないようにします。

自室で聞こえる音を録音する場合も、他人の住居へ近づいて探ったり、会話の内容を集めて公開したりせず、相談に必要な範囲にします。スマホの録音や騒音計アプリだけで法的な基準超過が確定するわけではありませんが、発生の様子を説明する補助にはなります。

音がする方向だけで、発生元を決めつけない

建物を伝わる音は発生元が分かりにくいこともあるため、管理側へ確認を頼みます。

話し声やテレビなど空気を通して伝わる音のほか、床や壁など建物を通して響く足音や振動があります。聞こえる方向と、実際に出ている場所が同じとは限りません。

壁をたたいて返したり、共用部へ相手を名指しした紙を貼ったりすると、別のトラブルへ進むおそれがあります。誰の音か不明なら「上方向から足音のように聞こえる」など、聞こえた事実と推測を分けて相談しましょう。

管理会社には、確認と対応の予定まで聞く

記録と希望をまとめ、「建物内の確認」「注意喚起」「次に連絡する時期」を相談すると、やり取りを続けやすくなります。

相談前にまとめるメモ
項目伝える内容
住まいと連絡先建物名・自室番号・連絡が取れる方法
音の状況記録した日時、種類、継続や繰り返しの様子
生活への影響睡眠や仕事など実際に困っていること
これまでの対応相談済みの日、管理側の返答、変化の有無
依頼したいこと発生元の確認、全体への注意喚起、今後の連絡方法

連絡文は、「夜間の音で睡眠に支障があり、相談です。日時と状況を記録しています。発生元は分かりません。建物内の確認と注意喚起について相談できますか」のように、事実と依頼を短く分けられます。これは実際の被害例ではなく、本人の状況で書き換える連絡の型です。

管理会社が全戸への注意喚起から始めることもあります。名前や部屋番号を相手へ伝えてよいか、どこまで伏せてもらえるかも相談してください。匿名が必ず守られると想定せず、対応前に伝え方を確認します。

注意後も改善しないなら、貸主への対応依頼と法律相談へ

再相談では、新しい被害記録と前回の対応を並べ、「次に誰が何を確認するか」まで聞きます。改善がなければ、管理会社だけで止めずに貸主にも対応を求めましょう。

  1. 注意後の状況を追加する。前回の相談日、注意を受けた後の音の日時・長さ、睡眠への影響をまとめます。自室で聞こえる音の録音は、元のファイルと日時を残し、担当者や相談先へ見せる資料にします。
  2. 管理会社・貸主へ書面で再連絡する。これまでの経緯をメールなどにまとめ、注意や現地確認を行ったか、次の対応と連絡予定を尋ねます。受け付けた人、回答、未回答の項目も残します。
  3. 住宅相談・法律相談へ持参する。自治体の住宅相談や弁護士会などの法律相談に、契約書、被害記録、録音、連絡履歴を持参します。「静かに暮らせるようにしたい」「貸主が対応しない」など、求める解決も伝えます。
  4. 必要に応じて調停や訴訟を検討する。民事調停は、裁判所が間に入り話し合いによる合意を目指す手続きで、近隣の騒音も対象になります。騒音の差止め(やめるよう求めること)や損害賠償、貸主の対応について、どの相手にどんな手続きを取れるかを専門家に確認します。

強い音がしているときでも、壁をたたき返したり、玄関へ押しかけたりして解決しようとすると、別のトラブルになります。録音は相談用に保管し、相手を特定する情報とともにネットへ公開しないでください。家賃を勝手に止める、引越し代を当然に差し引く、といった対応も避けます。

今夜の休息と、安全の確保も別に考える

威嚇や身の危険を感じるときは直接の交渉を避け、安全な場所から緊急の相談先へ連絡します。

緊急性のある暴力や危険が疑われる場合と、日常的な生活音の調整では相談の緊急度が違います。眠れない状態が続いているなら、音の交渉だけで抱えず、体調についても相談してください。

耳栓や寝る位置の一時的な変更は今夜をしのぐ工夫にはなっても、問題を全部自分だけで引き受ける約束ではありません。まずは記録を一つ残し、契約書にある管理先へ連絡するところから進められます。

この記事の登場人物

紗良のイラスト

紗良23歳

仕事帰りの買い物を手軽にしながら、自分に合う節約を探す。

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